人間の世界では毎年3月になると、高校や大学等を卒業して、それぞれ社会人や大学生として巣立って行きますが、この時期は人間ばかりでなく鳥達にとっても巣立ちの季節です。
私方の庭のヤマモモの木に、雉鳩が再度巣作りを始めたことについては、NO49で紹介しておりましたが、4月始め頃、どうやらその巣に卵を産んだようでした。というのは、再度巣作りを始めたころは、私や妻が庭に降りると、巣からあわただしく飛び立っていましたが、ある日、雉鳩が巣に入ったころを見計らってそっと巣に近づいたところ、雉鳩は巣から出ようとする気配を全くしなくなったからです。
その翌日から私の巣の観察が始まりました。先ず、毎朝、散歩に出かける前にヤマモモの木に近づき、巣を観察するのです。巣を見上げると、必ず雉鳩が巣にしゃがみこんでいる姿が見えますので、驚かせないようにして、「おはよう」と声をかけてやりますと、雉鳩は目をクルクルさせながら、ジッと私の方を見つめているようでしたが、私が危害を加えないことがわかったのか、飛び立つ気配はしません。約1時間の散歩から帰ってみて、再び巣をのぞいてみると、依然として雉鳩はしゃがみこんだままです。
この後、朝食を済ませ、出勤する前にもう一度巣をのぞいてみると、雉鳩の姿が見えますので、「今から出勤します。」と声をかけ、さらに、自動車学校から帰ったときにも巣を確認する等徹底した観察を続けました。
観察していたのは私ばかりではありません。妻も観察していたのです。洗濯物を干す時は必ず巣を観察していたそうです。妻の話によると、庭先で、「ク、ク」と雉鳩の鳴き声がするので、部屋の中から庭先を見たところ、一羽の雉鳩がおり、巣の方に向かって「ク、ク」と鳴くと巣の方から雉鳩が飛び出し、入れ替わりに庭先にいた雉鳩が巣の中に入っていったということでした。どうやらこの二羽の雉鳩は夫婦らしく、卵抱きの交代シーンだったようです。
私達の徹底した観察にかかわらず、巣の中の雉鳩達は一向に嫌な顔をせず、逆に巣の中から私達の家族を見守っている様子でした。
このような観察が続いた3週間後の4月20日、雉鳩の卵が孵化し、二羽の可愛い雛が誕生した様子でした。さあ、それからの観察が大変です。今度はどんな雛が生まれたのか見たくなり、ある日、雉鳩が餌を求めて飛び立つのを見計らって、ヤマモモの木に登り、巣の中の様子を見たところ、黒っぽいグロテスクな色をした二羽の雛がいました。雛達は私の気配を感じて、親鳩が餌を運んできたと勘違いしたのか、大きな口をパクパクさせながら盛んに餌を求める仕草をするのです。
こんな熱心な観察も約2週間で終わり、連休最後の5月6日には、二羽とも無事巣立ちをすることが出来ました。私達には何の挨拶もありませんでしたが、巣立った日、隣の家のテレビアンテナと電線に二羽の雉鳩がとまり、私方の家の方をジッと見ていたので、あるいはこれが別れの挨拶だったかも知れません。






