あごヒゲの男
電車で通勤していますと、車内や駅構内等でいろんな光景を目撃します。そんな中で紹介するのは、山之口駅で見かける「あごヒゲの男」です。
私が電車で降りる駅は、都城自動車学校に最も近い山之口駅ですが、、山之口駅では、宮崎駅方面から西鹿児島駅方面に向かう下りの電車と逆に西鹿児島駅方面から宮崎駅方面に向かう上りの電車が、駅構内で交差するようになっています。その際、30秒位、下りの電車の方が先に山之口駅に到着するようにダイヤがなっています。
したがって、私が電車から下りて階段を約50段上がったところで、「カン、カン」という上りの電車が、ホームに近づいたことを知らせる警告音が聞こえて来るのです。階段の上から都城方面を見ると、3両編成の電車が近づいてくるのが目に入ってきます。そこで、私がいつもする行動は、階段の上で立ち止まり、山之口駅舎周辺を見渡すことなのです。そうです。あの「あごヒゲの男」の姿を探しているのです。
「あごヒゲの男」の存在に気付いたのは、ダイヤが改正された平成13年3月頃です。私が山之口駅で電車を降り、階段を上がって駅の出口に向かっていると、必ず一人の男がカバンを両手に持ち、息せきながら階段を上ってくるのです。歳は髪の毛に白いものが見えますから40歳代と思われます。ネクタイをしている姿を見たことがなく、いつも柄物のシャツを着ていますので、どんな仕事をしているか判断がつきません。その男の人は、あごに白髪の混じったヒゲを蓄えていますので、私は、その男の人を「あごヒゲの男」と呼んでいるのです。
その「あごヒゲの男」は、電車が山之口駅に到着した時、ホームで上りの電車を待っていたことは一度もなく、いつも、「カン、カン」という電車が近づいたことを知らせる警告音が鳴ってから駅構内にそれこそ飛び込んできます。
ある日、いつものようにホームから階段を上がり、階段の上まで来た時、警告音が鳴り始めましたので、駅の周辺を見渡したところ、あの「あごヒゲの男」の姿がありません。今日は休みかなと他人事ながら心配をしていたところ、駅前にある郵便局の陰から、あの「あごヒゲの男」の走る姿が目に入ってきたのです。それこそ100メートル競争みたいで、両手にはいつものようにカバンを持っていました。電車の停車時間は約30秒位なので、「今日はは乗り遅れたかな。」と心配になり、ホームに停まっている上りの電車の方を見たところ、駅員がホームに降り、なんと駅の改札口の方を見ているではありませんか。出発時間は既に過ぎていましたが、こうしたお得意さんを待っていることもあるのです。
その光景を見てニヤニヤしながら改札口を出ますと、迎えにきてくれた職員も笑っており、「おはようございます。」の次に出てくる言葉は、「今日はゆっくりでしたよ。」とか、「今日は危なかったですね。100メートル競争でしたよ。」等「あごヒゲの男」に関する話題が最初になります。汗びっしょりになって階段を駆け上がる姿を見ながら、後5分早く家を出ればと思いながら、そうなったらこんな光景は見られなくなり残念ですので、今は複雑な心境になっているところです。






