65歳以上の高齢者が起こす交通事故の中で、最も多い事故の形態は、「交差点における出会い頭の事故」だそうですが、その原因は「安全不確認」となっています。しかしながら、事故の内容をつぶさに検討してみますと、高齢者には、単純に「安全不確認」だけでは済まされない、様々な要因があるようです。
その一つが、「動体視力の低下」です。それは、高齢者になればなるほど、動くものを捕らえる視力、いわゆる「動体視力」が低下しますので、近づいて来る車の速度の判断を見誤る場合が多いということです。
さらに、もう一つの要因が「眼瞼下垂」なのです。ある日、中央研修所で「高齢者講習指導員」の講習を受けた幾田検定員と「高齢者事故」のことについて話をしていたところ、同検定員から「これは中央研修所で学んだことですが、高齢者になると、瞼が段々下がって見えにくくなり、目線より上の物、例えば標識、信号機等を見落とすことがあるそうです。」ということを聞いたのです。そのようなことがあるのかなと半信半疑でしたが、その話を聞いた数日後、朝散歩中、ラジオから「眼瞼下垂」の話が流れてきたのです。
内容は、人間は35歳を過ぎると、眼瞼つまりマブタが下がってきますが、これは本人は全く気がつかないそうです。高齢者になると、額に何本も皺(しわ)がある人を見かけますが、これは、瞼が下がってきてよく見えないので、無意識に眉を上げて見ようとしますから、自然と額に皺が出来るということでした。
それから数日後、、これを裏付けるような場面に遭遇しました。それは、日曜日の昼間、妻を助手席に乗せて私の実家に帰る途中、郊外の交差点に差し掛かったところ、前方の信号機が「赤」になりましたので、交差点の手前で停止したのです。私は前方の信号機が変わるのを待っていますと、私が停止して約20秒位経った頃、対向車線を私の方向に走行してくる1台の軽自動車が見えました。
ところが、その車は交差点が近づいたのに、全くスピードを落とそうとしないのです。私の眼の錯覚かなと思いながら、前方の信号機を見たところ、やはり「赤」でした。
そのとき、私が停止している左側の方からダンプカーが近づいてくるのが、私の視野の中に入ってきました。ダンプカー側から見れば、当然信号は「青」ですから、このままの状態では交通事故になると思い、軽自動車とダンプカーの双方に知らせるため、クラクションを思い切り鳴らしたのです。
けたたましいクラクションだったので、ダンプカーの運転手はこれに気付いて急ブレーキをかけ、交差点の手前で停止しましたが、軽自動車の方は全く気付かないのか、スピードを落とさず交差点を通過してしまったのです。私の直ぐ横を通るとき、軽自動車の運転席を見ましたが、運転していたのは70歳代の男性で、助手席の妻らしい女性とニコニコ笑いながらの運転振りであり、自分が信号無視したことに全く気付いていないようでした。
このように高齢者になると、様々な運動能力が低下しますので、今後の高齢者講習では、運転者自身にこの衰えを自覚させることが必要のようです。






