リーダー
私が住んでいる宮崎市の平和が丘団地は、昭和44年に宮崎県住宅供給公社が開発した土地及び住宅の分譲地で、約1,000世帯の人達が居住していますが、団地周囲が約2キロメートル位あり、私にとってこの周辺道路は、朝夕の散歩にはもってこいのコースとなっています。
その団地内にある宮崎市立池内小学校の下に、「鳥越池」という池があります。もともとこの池は、明治時代の始め頃、現在の団地下周辺に広がる花が島地区の田圃の灌漑用の溜池として作られたものですが、周囲が約500メートル位あり、年中、満々と水を蓄えています。
私がこの団地に住み始めた頃は、この池には、フナ、鯉等の在来種の魚がいましたが、今では、ブラックバスやブルーギル等の外来種の魚がのさばり、このことが「ザ・フイッシング」という雑誌に掲載されたせいか、県内外の釣りマニア達が湖面にボートを浮かべ、釣り糸を垂れている姿を見かけるようになりました。
また、この池には、毎年決まったように12月始めごろから翌年の2月末にかけて、渡鳥のカモ達がやって来ます。ここが禁猟区であると知っているのか、この時期夕方ともなると、湖面が真っ黒になる位、約1,000羽を超えるカモが水面に降りてきて、羽を休めています。
夕方散歩中にそのカモ達の様子を見ていますと、「ガ-、ガー」等と、さかんに「カモ語」をしゃべっているようですが、おそらくその日の出来事を話しているものと思います。
毎朝散歩中、その「鳥越池」の脇を通りますが、私が池に近づきますと、必ず池の方から「ピー」というかん高く、そして鋭いカモの鳴く声が聞こえてきます。夕方同じ池で鳴いている「ガ-、ガ-」というのんびりした鳴き声と全く違います。どうやらカモのリーダーが「人間が近づいて来たぞ。危ないから、皆池の中央に集まれ」と他のカモに呼びかけているようです。足音を忍ばせて近づいてみても、やはりその声は聞こえてきます。冬の朝の6時頃といえばまだ薄暗く、池の様子ははっきりとは見えませんが、池周辺に設置されている防犯灯のかすかな明かりで見ていますと、池の端、つまり道路側で泳いでいたカモが、その鳴き声に応じて一斉に池の中央めがけて泳ぎ出していきます。
その行動は素早く、別行動を取るカモは一匹も見当たりません。まさに一糸乱れぬ行動です。全部のカモが中央に集合する間、リーダーらしきカモがさかんに「ピ^、ピー」と鳴き、他のカモを集めています。その様子を見ていると、カモ達は池の中央に向かって泳いでいますが、いくつかの塊が出来ていますので、どうやらカモ達にはグループがあるように見受けられました。
このようなカモ達の保身術は、代々親から子へと受継がれたものと思われますが、それにしても見事な「リーダーの統率力」で、毎朝散歩中にこの光景を見るたびに感心しているところです。
人間世界では、どの職場においても「指示命令の徹底」がうまくいきませんが、この点では、どうやら人間もカモ達に見習った方が良さそうです。






