強い毒性を持つ高病原性鳥インフルエンザは、本年1月頃から中国やベトナム等アジア各国で発生していましたが、日本国内でも2月に入り、山口県内の養鶏場で数千羽の鶏、そして大分県内の一般家庭では、飼育しているチャボが次々と死亡し、検査の結果、いずれも高病原性鳥インフルエンザであることが判明しました。
幸い、双方とも養鶏場の経営者や飼育者が異変に気付き、直ちに家畜保健衛生所等に届けたため、早期に家畜伝染病予防法に基づく専門家の立ち入りや消毒、そして飼っている鶏や卵の処分及び移動禁止措置が取られ、インフルエンザの拡大を防ぐことが出来ました。
高病原性鳥インフルエンザの感染源は、渡り鳥説等があるようですが、現在のところハッキリせず、そのため農林水産省等では、再発防止対策として異変に気付いた時は早期に届けるよう呼び掛けを行っていましたが、2月末になり京都府内の養鶏場で鶏が大量死する事案が発生しました。
報道によりますと、「鶏がバタバタ死んでいる」という匿名の電話が京都府にあり、直ちに立ち入りして死んだ鶏を検査した結果、高病原性鳥インフルエンザであることが判明したということです。この会社の社長は「腸炎だと思った。鳥インフルエンザだとは思わなかった」と説明していますが、京都府等の調べによりますと、その養鶏場では、2月20日頃から鶏が大量に死に始め、28日までに6万7,500羽余りが死んだということで、残った鶏の処分が進められているようです。
鳥インフルエンザのことがこれほど話題になっていますから、養鶏場経営者としては、鶏の大量死が続けば、先ず「鳥インフルエンザ」を疑うはずなのに、京都府に届けてなく、そのうえ、千羽単位で鶏が死んでいる時に、食肉用のの鶏の出荷を早めたということで、家畜伝染病予防法の届出義務違反の疑いもあるようです。
この養鶏場は兵庫県に本社があり、兵庫県内や京都府内に五つの養鶏場を持ち、約175万羽の鶏を飼育している西日本最大の規模を誇る会社ですが、この会社の会長は、日本養鶏協会の副会長や兵庫県養鶏協会の会長の要職にあり、1月に中国等で鳥インフルエンザが発生した際は、兵庫県内の養鶏業者に対し、「異変に気付いた時は早期に届けるように」と指示していたということですから、この会社は一体どうなっているのかと疑いたくもなります。
その後の記者会見等で、社長は「もっと早く連絡していればよかったが、鳥インフルエンザであってほしくないという希望的観測があった」と述べています。自分のところで鳥インフルエンザが発生したとなれば、養鶏業者は打撃を受けますが、それをおそれて隠したり、通報をちゅうちょしたりすれば、信用の失墜を含めて損失は膨れ上がり、今回のように多くの人や鶏等が迷惑を被ることになるわけです。
この会社では、鳥インフルエンザが発生した養鶏場を閉鎖すると発表していますが、それだけでは済まされず、おそらく、あの「雪印」と同じ運命をたどることになるでしょう。
その意味でも今回の事案は、企業の幹部等が「初動の大事さ」を知るには格好の材料となり、生きた教訓になったものと思います。






