15日に発表されたアテネ五輪マラソン代表メンバーの中に、シドニー五輪金メダリスト高橋尚子選手の名前はありませんでした。この発表には国民の誰もが驚いたようで、小泉首相も「ええっ、選ばれなかったの。それは残念だな。特別にもう一人追加するというわけにはいかないの。」とコメントしていましたが、この言葉が、発表を聞いた瞬間の国民の感想の全てを物語っているようです。
「国民的ヒロイン」のQちゃんは、なぜ代表から漏れたのか、選考に当たった日本陸上連盟の沢木啓祐強化委員長は、「事前に公表した基準に従い、実績より客観性を重視した。苦渋の決断だった。」と選考から決定に至るまでの経過を発表しました。
それによりますと、今回の選考に当たっては、事前に日本陸連から「各選考会の日本人上位の競技者からアテネ大会でメダルを獲得、または入賞が期待される競技者を選考する」と選考基準が示されていました。各選考会とは、世界選手権、東京国際、大阪国際、名古屋の四つのマラソン大会を指しています。
会議には、陸連の幹部や旭化成の宗茂監督等の強化担当者ら10人が出席して選考が行われましたが、既に世界陸上選手権で銀メダルに輝き、内定していた野口みずき選手が代表選手に決定し、次いで、四つの選考会レース中、最もいい記録を出した土佐礼子選手がスンナリ代表に選ばれました。
そして、最後の1枠を大阪国際マラソン大会で優勝した坂本直子選手と、東京国際マラソン大会で2位となった高橋尚子選手のどちらを選ぶかに約2時間が費やされたそうです。
会議では、「メダル獲得、または入賞の可能性」が論議され、シドニー五輪を始め、過去7回のマラソン大会に出場し、うち6回優勝している高橋尚子選手の実績や、国民栄誉賞を受賞したほどの存在感や注目度を重んじる意見が出たそうです。
しかしながら、坂本直子選手は、大阪国際マラソン大会で後半一気ににペースアップし、30キロからの5キロは男性並みの15分46秒と、これまでの女子では殆ど例のない高速で駆け抜けて優勝し、終盤に疲れて急失速した高橋尚子選手を順位も記録も上回っており、坂本直子選手の優位が明らかになりました。
それでも陸連関係者としては、過去のオリンピック大会で実績を重視して選ばれ、バルセロナとアトランタの両大会でメダルを獲得した有森裕子選手の例もあり、高橋尚子選手を強力に推しましたが、坂本直子選手の優位を覆す要素は見あたらなかったということです。
この点につき、自らもロサンゼルス五輪大会に出場し、この会議に出席した増田明美さんは、「高橋さんが五輪で強いのはわかっている。それでも高橋さんを落とさなければならないほど、坂本さんや土佐さんが申し分なかった。」と今回の決定には納得しています。
もし、陸連が過去の実績を重視して高橋選手を選んだとしたら、当然坂本選手は落選となりますので、陸連に対する批判は相当なものになっていたと予想されます。その意味でも、今回の決定は「苦渋の決断」ではありましたが、客観性を重視した妥当性のある決定であったと思われます。






