「福助の足袋」と言えば、裃(かみしも)を付けた人形がお辞儀をしている姿の商標を思い浮かべ、現在50歳以上の国民であれば、誰でもが知っている老舗の衣料品メーカーです。
ところが、明治時代に会社が発足し、創業以来120年の伝統を誇るその「福助の足袋」会社が、平成15年にあえなく倒産してしまったのです。
先日、その会社の再生をかけての奮闘ぶりが、「カリスマバイヤーが老舗を再建」というタイトルで放映されていました。「福助の足袋」の新会社は、前会社の従業員600人のうち、約半数の300人を6ヶ月間という期限付きで再採用し、平成15年10月1日に発足しましたが、社長として外部から採用されたのが、「藤巻幸夫さん」という人です。
藤巻さんはもともと、大手デパートのバイヤーとして有能なデザイナーを育て、数々の新しい商品を開発した人ですが、「福助の足袋」会社の会長である川島隆明さんからその才能ぶりを見込まれ、全く未経験の衣料品メーカーの社長となったのです。
藤巻さんが新しく社長となり先ず驚いたことは、倒産を経験したせいか、社員がすっかり萎縮しており、会社全体に明るさが感じられなかったことです。藤巻さんは精力的に会社内を動き回って一人ひとりの社員に声をかけ、元気付けを行ったところ、ようやく社員がやる気を起こすようになりました。
また、新会社の企画、生産、営業各部門のリーダーを集め、経営会議を開催したところ、どの幹部もリーダーシップを取ろうとせず、責任の所在を他の部門に押し付ける等、問題解消の意欲が全く見られず、幹部を含め全社員の「意識改革」の必要性を痛感したということです。
そこで、藤巻さんが手がけたのは、若者に人気のある靴下を販売している会社に若手社員を派遣し、研修させたのです。自社の製品しか見たことがなかった社員にはこれが大きな刺激となり、やがて若手社員が中心となって「新商品開発プロジェクト」を立上げ、消費者が望んでいる新製品の開発に力を注ぐようになったということです。
しかし、思うようには新しい商品が売れず、新社長に対する手腕が問われましたが、それでも藤巻さんは「消費者の目を意識しろ」と社員にハッパをかけ続けたたところ、若手社員の目色が変わり、次々と新しい製品の開発をするようになったのです。
若手社員が開発した新製品のサンプルは、平成15年12月に開催された各メーカー共催の「新商品発表会」に提出されましたが、その発表会では、開発に携わった社員が参加者に熱っぽく商品の説明をした結果、おおむね好意的に受け取られ、寄せられた評価も良かったということです。
今後の課題として藤巻さんは、「消費者が求めている製品をいくら開発しても、これが売れなければ駄目です。そこで、営業部門、企業等全社員が協力体制を取ることが大切です。」と述べていましたが、「意識改革」が着々と進んでいる新会社のことですから、そう遠くない時期には、老舗の「福助の足袋」が復活した姿が見られそうです。






