危機管理の鉄則
「白骨温泉」は、長野県安曇村の乗鞍岳山麓にある温泉ですが、古くから胃腸の特効の湯として知られ、温泉中の石灰岩が白く沈殿するため、この名称が付けられたと言われています。
その「白骨温泉」が今回、観光地としてではなく、とんでもないことでマスコミの話題となりました。それは、「白骨温泉」内にある公共露天風呂が、湯を白濁させるための入浴剤を使っていたことが、週刊誌の記事で発覚したからです。
入浴剤を露天風呂に投入しているところをバッチリ写真に取られていては関係者も弁解のしようがなく、この露天風呂を運営する同温泉の理事長も事実を認め、「湯が変色したため、乳白色のイメージを壊すわけにはいかなかった。申し訳ない。」と素直に謝罪しました。
組合長の説明によると、この露天風呂は、平成6年にオープンしましたが、3年目に湯量が減り、湯が白濁せずにネズミ色に濁るようになったことから、従業員の発案で、群馬県の草津温泉の成分の入った入浴剤を入れ、白濁していたということです。
外部から指摘があり、同組合が13軒の温泉旅館を調査したところ、2軒が同様の入浴剤を使っていたが、残りの11軒については入浴剤を使っていないと発表したのです。
これでこの問題は「乳白色の温泉のイメージを壊したくない」という一部の温泉による勇み足で終わるものと思っていたところ、この問題を追及していた週刊誌の調査で、入浴剤を使っていないと回答していた温泉旅館のほとんどが、量の多少の差はあれ、どうやら使っていた疑いが出て来たのです。
そこで、あわてて長野県知事が現地視察をするとともに、再度温泉旅館に対し聞き取り調査したところ、11軒のうち大半の温泉旅館が入浴剤を使っていたことが判明したのです。しかもそのうちの旅館には、テレビのコマーシャルにも出て名前が知られている老舗の旅館からも入浴剤が見つかり、テレビの取材でその旅館の若女将は「昨年、ビデオ撮影の時、1回だけ使いましたが、それ以外は全く使っていません。」と入浴剤を常用していないと堂々と否認したのです。
ところが、数日後に再度長野県がその旅館に対する抜き打ち検査をすると、本年4月製造の入浴剤の空箱が見つかり、さらに検査中に、従業員が入浴剤の入った箱を持ち出そうとしたことも発覚し、問題がさらに大きくなったのです。
マスコミから追求された旅館の若女将は、「前回、テレビのコマーシャル撮影の時、1回だけ入浴剤を使ったと説明していましたが、実は数年前から1週間に1回の割合で入浴剤を使っていました。怖くて本当のことが言えませんでした。」と事実を認めたのです。
このドタバタ劇について、テレビニュースキャスタ-の木村太郎さんは、「危機管理の鉄則は、『すみやかに』と『正直に』です。」と解説していますが、まさにその通りです。雪印事件、三菱自動車事件等の事例を見てもわかるとおり、今回の件は、危機管理の鉄則を守らないと会社そのものが危うくなることを教えてくれたようです。






