先日、西武鉄道株のグループ企業による虚偽記載問題で、東京地検特捜部は、中核企業コクドの前会長堤義明容疑者を証券取引法違反(虚偽記載、インサイダー取引)容疑で逮捕しましたが、その模様がテレビで放映されていました。
いつもは外車にしか乗らない堤容疑者が地検の国産車に乗せられ、それを直立不動の社員が見送る場面が映し出されており、そこには、かってコクドをはじめ、西武鉄道、プリンスホテル、西武ライオンズ等傘下135社の総帥者として自分の思うがままに君臨した姿はありませんでした。
堤前会長の逮捕については、小泉首相をはじめ、いろいろな人がコメントを述べていましたが、その中で、ある財界人が「堤さんは、いつの間にか『裸の王様』になっていたのですね。」と述べていたのが印象的でした。
「裸の王様」とは、三省堂の新明解国語辞典によりますと、「目に見えない服を着せられているのに気付かず、子供から『裸の王様』と言われて始めて自分の本当の姿に気付くというアンデルセンの童話から出た言葉」ですが、この言葉は「いいことだけを知らされていて、本当のことを知らない人の例え」として使われています。
今回の事件をみると、堤前会長には、そういわれても仕方のない部分があったようです。私はテレビである場面を見て、堤前会長のことを「ワンマン社長だな。こんなリーダーがまだ日本にいたのか」とビックリしたことがあります。
それは、約10年位前のことになりますが、プロ野球の西武ライオンズの監督であった森さんが、日本シリーズで巨人に勝って日本一となり、その報告を当時のオーナーである堤社長にしたときのことです。森監督としては、日本一となったことであり、当然堤社長からは「よく頑張った。来シーズンも引き続き監督をお願いしますよ。」と労いをこめた言葉があるものと思っていたところ、堤社長は「あなたがやる気があったら、やってみたら」と突き放すような発言をしたのです。
カメラに囲まれた中での発言であり、それまでニコニコして会話していた森監督の顔が一瞬引きつったようになりました。おそらく、堤社長としては、森監督を傘下グループの社員と同じ者として扱ったのでしょうが、森監督の後ろにいるプロ野球のファンのことを忘れた言動でした。この言動でプライドを傷つけられた森監督は、このシーズンを限りに西武ライオンズのユニフォームを脱ぐことになりましたが、今回の逮捕劇を見て、すぐこのときの堤社長の言動を思い出したわけです。
堤前会長については、実弟も「あの人(堤前会長)は経営者というより専制君主だ。」と広言しているとおり、傘下のグループの人事を始め、ホテルの廊下のジュータンの色まで自分で決めると言うワンマン振りであったということです。西武グループ内にも優秀な人材がいましたが、意見を具申してもそれが堤会長の気に食わないと左遷されていたということですから、自然と社員も「イエスマン」になり、正しい意見がトップの堤前会長に伝わらず、いつの間にか、堤前会長自身が「裸の王様」になっていたわけです。
「西武」と言えば、巷では「税金を支払わない会社」として有名であり、リーダーである堤前会長の逮捕で、いったん落ちた信用を回復するためには、余程の努力をしないと「ダイエー」の二の舞になりそうです。






