大相撲春場所は、横綱の朝青龍関が14勝1敗の好成績で、3場所連続、11回目の優勝を遂げ閉幕しました。圧倒的な勝ち方で見事な優勝と言わざるを得ませんが、日本の国技である相撲で、外国人の朝青龍関が優勝したわけですから、日本人としては、手放しで喜んでいるわけにもいかないようです。
私が子供のときは相撲の全盛時代でしたから、今でも「そのときのお相撲さんの名前を言いなさい」と聞かれれば、たちどころに「吉葉山、千代の山、鏡里、照国、栃錦、若乃花」等と名前が出て来るほどですから、余計、最近の相撲を見て、外国人の力士の活躍は快く思っていませんでした。特に、朝青龍関の相撲は憎らしいほど強いので、私にとってはあまり好きな力士ではなく、優勝がかかった13日目の栃東戦で、取り直し後の相撲で栃東が勝ったときは、思わず拍手して喜び、溜飲の下がる思いがしました。
ところが、千秋楽の日の表彰式で見せた朝青龍関の行動にはすっかり魅せられ、あんなに嫌いであった朝青龍関がたちまち大好きになったのです。
それは表彰式のときに行われる「国歌斉唱」のときでした。その表彰式をテレビで見ていたところ、「国歌斉唱を行いますので、ご起立ください。ご唱和をお願いします。」というアナウンスがあり、場内に国歌が流れますと、会場にいた人達は伴奏に合わせて「国歌」を唱和し始めましたが、途中からその映像が朝青龍関のアップ姿になりました。よく見ると、なんと朝青龍関の口が動き、「国歌」を斉唱していたのです。カメラはその朝青龍関の口の動きを捉えていましたが、「君が代は」に始まり、最後の「苔のむすまで」と正確に唱和していました。国歌の演奏が終わったあと、アナウンサーは「朝青龍関はよく日本の国歌を覚えましたね」とコメントしていましたが、私も朝青龍関のその態度にはすっかり感心させられました。日本には「郷に入れば郷に従え」という諺がありますが、モンゴルから言葉も風習も異なる日本にやってきて、相撲だけでなく、流暢な日本語も話すことが出来るようになり、しかも日本の「国歌」も正確に唄えるということですから、日本人以上に日本を知る人間になったようです。
さて、「国歌斉唱」といえば、いつも歯がゆい思いをするときがあります。それは、外国のチームとサッカーの試合をするときのことです。サッカーの試合では、試合に先立ち両チームの「国歌」が演奏されますが、その模様がテレビ映し出されますと、外国のチームの選手は自国の「国歌」を誇らしげに声高らかに唄います。先日イランで行われたワールドカップの予選の試合でも、イランの選手の口は全員動いていましたが、日本チームは選手達の半分しか口が動いていませんでした。動いていたのは、中田、小野、中村等ヨーロッパで活躍している選手達だけでした。おそらく、外国のチームで活躍しているこれらの選手達は、自国の「国歌」を誇らしげに唄っているチームメイトを見て、自然と「愛国心」に目覚め、唱和の習慣が身についたものと思います。
とかく日本人は「国歌斉唱」については、恥ずかしいのか、あるいは抵抗があるのか知りませんが、唱和をする人は少ないようです。次回のレバノン戦で日本チームが勝つためには、全員の選手が口を大きく開け、声高らかに「国歌斉唱」を唄い、士気を高めてほしいと願っているところです。






