バリアフリー
バリアフリーという言葉を聞くようになってから、既に10数年、あるいはそれ以上になると思いますが、官公庁を始めとする公共施設や病院等でも、従来玄関が階段であったのが、スロープ式に改善されたり、あるいは、スーパー等の駐車場では、障害者のために車椅子のマークがある駐車スペースが設置される等、バリアフリーについては、細かな配慮がされているようです。しかしながら、残念なことには、予算の関係があるかもしれませんが、まだまだ、バリアフリーについて、施設面で手遅れになっているところがあります。その代表的な施設が鉄道です。
私が通勤のため利用しているJRの駅は、高架駅になっていますので、電車に乗るためには、50段の階段を歩いて上るか、またはエスカレーターを利用して2階に上がらないといけないようになっています。私はまだ健康で、足には自信がありますので、いつも足の訓練を兼ねて階段を逆さ歩きしながら2階に上がっていますが、いつも私と入れ替わりに階段を下りてくる男性がいます。その男性は40歳台の人ですが、左足が義足のようで、階段の取っ手をつかみながら、一段一段慎重に下りてきます。疲れるのか途中の踊り場で止まり、しばらく休憩したあと、ゆっくりと階段を下りて行きます。従って、電車が止まる2階のホームから1階の改札口までたどり着くのに、なんと5分以上もかかるのです。このJRの駅には、上りのエスカレーターはありますが、下りのエスカレーターがないので、こんな光景がしばしば見られるのです。
また、先日、電車が終点のJRの駅に到着したので降りようとして出口まで進んだところ、私の目の前に若い母親が1歳位の赤ちゃんを抱き、さらには、もう一人の赤ちゃんを乳母車に乗せて電車から降りようとしている姿が見えました。どうやら赤ちゃんは双子のようで、母親は電車から降りようとしないので、私はその母親に連れがあるものと思い、先に、ホームに降りたったのです。階段を下りようとして、ふと電車の出口の方を見たところ、電車の運転士が乳母車の片方をつかみ、ホーム上に降ろしている様子でした。しかし、運転士は、乳母車を下ろすと、さっさと電車内に入ってしまったのです。ホーム上に降りた母親は、乳母車を押しながら階段付近に近づき、キョロキョロしていましたので、私は引き返して、その母親に近づき、「この駅は下りのエスカレーターがないのですよ。私が乳母車の片方を持ちますから」と申し出たのです。
私は、赤ちゃんを乗せた乳母車の片方を持ち上げ、階段を横になりながら階段を下り始めましたが、これが意外と重く、途中で足がもつれそうになりました。一方若い母親は、左手に子供を抱き、右手で乳母車の反対側を持ち、汗を流しながらゆっくり、ゆっくりと階段を下り始めたのです。途中の踊り場まで下りたとき、改札口で乗客から乗車券を受け取っている男と女に駅員の姿が見えましたが、どうやら私達の姿には気づかない様子でしたので、そのまま階段を下り、ようやく1階に下りることが出来たのです。その間、約3分位でしたが、私にとってもかなり重労働でしたから、おそらく母親はもっときつかったものと思います。
最近になってようやくこの駅には、エレベーターが設置されるようになったそうですが、まだまだ時間がかかりそうなので、もうしばらくは、このような下りの階段で苦労する人達を見かけそうです。






