今年の8月末、福岡市内において、カブトムシを取りに出掛けた家族連れの車が、飲酒運転の車に追突されて橋から転落し、幼児3名が死亡する痛ましい事故が発生し、全国に「飲酒運転撲滅運動」が拡がり、最近、新聞紙上では、飲酒運転追放に関する記事が毎日のように掲載されています。
飲酒運転の厳罰化については、高速道路において飲酒運転のトラックに追突され、幼い子供が焼死した事故を契機に平成14年には刑法が改正され、新たに「危険運転致死傷罪」が制定されました。これにより、一時、飲酒運転による交通事故が減少しましたが、警察庁が10月27日の夕方から翌28日の朝にかけて行った全国一斉の飲酒取締りでは、逮捕者17人を含む1,053人が飲酒運転(酒酔い・酒気帯び運転)で検挙されるという結果で、依然として飲酒運転をする人は減少していません。
また、警察を始め、専門家の間では、飲酒運転を撲滅する最大の対策は、「厳罰化」ということで、刑法が改正されて「危険運転致死傷罪」が制定されたほか、飲酒運転をして死亡事故や重傷事故を起こした場合は、懲戒処分や解雇といった厳しい処分をする公共団体や企業が増加していますが、依然として飲酒運転は減少していません。なぜ、飲酒運転が厳しい取り締まり等にもかかわらず、減少しないのか疑問に思っていたところ、先日、「飲酒運転抑止へ依存症対策を、市民団体、国に要望」という記事が新聞に掲載されていました。
それによりますと、飲酒運転の背景には「アルコール依存症」という病気があるということです。医師等の専門家の話によると、ビールや日本酒、焼酎、ウイスキーなどのアルコール飲料は、一般に「嗜好品」といわれていますが、同時に依存性のある薬物というもう一つの顔を持っているそうです。したがって、毎日のように飲酒している人は、長い年月の間に、知らず知らずのうちにアルコールに依存してしまうようになっているということで、現在日本には、少なくとも240万人のアルコール依存症者がおり、驚いたことに、そのうち約80万人は、運転免許証を持っているということです。
「アルコール依存症」というのは、「今日は飲まずにいようと思っていてもつい飲んでしまう」、「少しでやめておこうと思っていても、酩酊するまで飲む」等の状態が続き、やがて「やたらに汗をかいたり、風邪をひいたように熱っぽくなる」、「手や全身の震え、幻覚等が起きてくる」といった症状になり、飲酒するとこのような症状がなくなってくるという病気だそうです。このような「アルコール依存症」は、眠るための方法として「寝酒」をしている人にみられ、特に職業運転手が多いということです。職業運転手がアルコールに依存する大きなきっかけも、不規則な勤務のために睡眠パーターンが崩れやすく、早く眠りに着こうとして「寝酒」するようになり、知らず知らずのうちに病気になっているということです。
アルコールに依存した状態の人が運転を続けるのは、自分だけでなく他人の命を大きな危険にさらす行動ですが、その危険に対する正常な判断が出来ないのは、本人の性格や人格欠陥ではなく、「病気」のためですから、早期に治療することが必要なわけです。既にアメリカでは、飲酒運転で摘発された人に対し、裁判所が教育プログラムの受講を命じ、依存症が疑われる場合は、治療機関に送られる制度が確立していますので、日本においても、早期にこのような対策を講じられることが望まれます。






