平成18年の女子ゴルフ最終戦を飾るLPGAツアー選手権杯リコーカップは、宮崎CCで開催されましたが、昨年から活動拠点の場を鹿児島から宮崎に移した横峰さくら選手が、公式戦では初めて、今年3勝目で見事優勝しました。私は、最終日の11月26日、小雨の降る中、いつもはテレビでしか見ることが出来ない選手をすぐ目の前で観戦し、「ナイスプレー」を随所で見ることが出来ました。優勝した横峰選手の、OUT9番とIN11番での第2打のドライバーによるショットなどは、さすがはプロ選手だと思わせましたが、その中で私を始めギャラリーが最も感動した「ナイスプレー」がありました。
それはOUTの1番ホールにおける台湾のウェイ・ユンジェ選手のプレーです。選手達22名は全てOUTの1番からスタートしますので、私はこの日、ティショットを始め、第2打を打つのが見える1番ホールのグリーン脇に陣取り、選手達のプレーをつぶさに見学することにしました。その中で、ユンジェ選手の第2打は、グリーンをはるかにオーバーしてギャラリーの足に当たり、ボールはOB線の間際まで飛んでしまったのです。もし、ギャラリーの足に当たらなければ、OBとなるところでした。しかし、ボールは木の枝の下で、おまけに、土の上にありましたので、トラブルかなと思っていましたが、ユンジェ選手は第3打を見事にピンのそばに寄せ、このホールをパーとしたのです。
両選手のプレーが終わったとき、ユンジュ選手と一緒にプレーしていた肥後かおり選手が、ユンジュ選手の足元を指差し、何か言っているようでした。その声は私にはよく聞こえませんでしたが、ユンジュ選手が自分のスパイクの方を見ており、よく見ると、スパイクに黒い泥が付いており、ユンジュ選手が歩いたグリーン上には点々と泥らしきものが付いているのが見えました。その泥は、グリーン奥の土の上から第3打を打った時、折からの雨でぬかっており、その泥がスパイクに付いたもののようでしたが、ユンジュ選手はプレーに熱中していて、スパイクに泥が付いたのがわからなかったものと思われます。
これに対してユンジェ選手は、肥後選手に日本語で「ありがとう」と返事すると、自分のバッグから白いタオルを取り出し、再びグリーン上に戻り、ピン付近に付いたスパイクの泥を一つ一つ丁寧に、タオルで取り除き始めたのです。それまで、ユンジェ選手の前にプレーした選手のうち、4名の選手がグリーンをオーバーし、ユンジェ選手と同じように土の上でプレーしましたが、その選手達はそのままプレーし、次のホールへと進んで行きましたので、グリーン脇で見ていたギャラリーの人達も思わず、そのユンジュ選手の行動を黙って見ていたのです。
ユンジェ選手は、自分が歩いた後のグリーン上に付いた泥をタオルで一つ一つ丁寧に取り除いた後、ピンの周りの木の葉や他のプレーヤがつけた泥もタオルで綺麗に取り除いたのです。すると、この行為を一部始終じっと見つめていた約300名からのギャラリーからは、いっせいに拍手と「ナイスプレー」という歓声が起こったのです。この1番のグリーンでは、宮里選手、諸見里選手、横峰選手の3名がバーディーを取り、ギャラリーからは、大きな拍手と「ナイスプレー」という歓声が挙がりましたが、私には、ユンジェ選手のときのプレーの方が、より大きく感じました。
もし、私達がユンジェ選手の立場だったら、おそらく自分が歩いた後の泥を手で掴み、捨てるぐらいがしても、タオルで丁寧に取り除くことまではしないだろうと思います。多くのギャライーの前で、こともなげにこのような行為を行ったユンジェ選手には、もし、「ナイスプレー賞」があるとしたら、是非贈呈したいものです。






