私が通勤のため利用しているのはJR日豊本線ですが、私が乗る宮崎駅から山之口駅間は、ラッシュの時間帯を過ぎていることと、宮崎市内に通勤する人達とは逆方向の電車になりますので、乗車する人も少なく、まことにのんびりしたもので、いかにも「ローカル列車」といった感じがします。
私がそのように感じるのは、次の理由からです。先ず、第一点は、乗務員の話す言葉が「薩摩弁」であり、いかにも「地方の列車だな」という感じがするからです。私が乗車する電車は、宮崎駅が始発で、終点が鹿児島中央駅となっていますが、車掌さんが話す言葉を聞いていると、殆どが「薩摩弁」で話しているようです。それは、旧国鉄時代、宮崎駅と鹿児島駅間は、鹿児島鉄道管理局が担当しており、従って駅員も鹿児島出身の人が多かったので、自然と話す言葉も「薩摩弁」となっていたわけです。その名残が現在でもあるのか、車掌さんが話す言葉を聞いていると、独特のアクセントのある「薩摩弁」です。私達は、その言葉を聞いても別に違和感はありませんが、おそらく都会の人達が聞いたら、外国の言葉のように聞こえるものと思います。
その第二点は、日豊本線は単線ですから、電車の行き違いのため、駅のほか、各地に設けられている信号場でたびたび停車するからです。宮崎駅から山之口駅までの間に停車する駅は、南宮崎駅、加納駅、清武駅、日向沓掛駅、田野駅、青井岳駅ですが、そのほか、駅の途中にある門石信号場と楠ヶ丘信号場でも臨時に停車するようになっています。
先日の朝、いつものように門石信号場が近づくと、「上り列車、行き違いのため、約4分間停車します。」というアナウンスがあり、やがて電車は信号場に停車しました。すると、私が座っている席のすぐ近くから「わあ、列車行き違いのため、臨時に停車するとは、ノンビリしているな。新幹線では味わえないよ。やはりこの電車にした方がよかった。まさに『ローカル列車』だよ。」という声が聞こえてきました。声のする席を見ると、その人達は、私と同じ位の年齢で、男4人と女4人のグループでした。話し振りからどうやら東京近辺に住んでいる人達で、第二の仕事も終わり、九州管内を旅行途中の様子でした。日頃、この電車に乗りなれている私達にとっては、信号場に臨時停車するたびに、「又、臨時停車か」と思っていましたが、ノンビリ旅行を楽しむ人達にとっては、このような臨時停車がいかにもゆったりした気分にさせるようです。
その第三点は、車窓から眺める風景が、春夏秋冬移り変わり、心が安らぐからです。田野駅を出発すると間もなく、電車は鰐塚山系の山の中に入っていきますので、車窓から眺める景色は一変して、周りは木々だけになります。しかし、この光景がノンビリ旅行する人にとってはたまらなく良いらしく、旅行者の姿を見ていると、ガラス窓に顔をくっつけるようにして眺めています。春になると、一斉に青い葉っぱが茂って、山を覆いますし、冬は冬で、青井岳駅付近では、一面真っ白になる位雪が降りますので、それらの光景を眺めていると、私までなんだか心が豊かなになったような気がします。
大雨や強風警報が出たりすると、たちまち不通になる日豊本線ですが、私にとっては、車内でゆっくり好きな本が読めますし、又乗車時間も約50分ですから、通勤する者にとって大変便利な乗り物です。今後も「ローカル列車」として長続きして欲しいと願っています。
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