全て交通死亡事故は悲惨ですが、その中で最も痛ましいのは、親が実の我が子を車ではねてしまい、死亡させる事故ではないでしょうか。毎年、このような悲惨な事故が、全国のどこかで発生していますが、今年もまた、先日発生しました。新聞報道によりますと、その事故は、7月30日の午前9時ごろ、東京都国立市内の幼稚園前市道で、4歳の女の子が、29歳の母親の運転するワゴン車にひかれて頭を強く打ち、病院に運ばれましたが間もなく死亡が確認されたという事故です。
警察の調べによりますと、事故は、母親が死亡した娘さんを通っている幼稚園まで車で送ってきた際に起きたもので、道路左端に止められた車の助手席から娘が一人で降り、道路右側の数メートル先にある幼稚園に向かおうと車の前を横切った際、ひかれたものでした。娘さんの身長は約1メートルで、警察では母親が娘さんの姿をよく確認せずに車を発進させた疑いがると見て調べているということです。
この日、幼稚園は休みでしたが、娘さんは園で開かれる体操教室に参加するため登園していたということですが、では何故このような事故は発生したのでしょうか。もちろん、今回の事故は、母親が娘さんの姿を良く確認せずに車を発進させたことが最大の原因ですが、私は、母親が4歳の娘さんの「行動心理」をよく理解していなかったことも要因にあると思います。それは、車から降りた4歳になる娘さんの頭の中は、おそらく幼稚園での体操教室のことしかなく、ましてや、母親の車が発進しようということなどは全く考えず、車の前を横切ったものと思います。このように子供は、時として大人が予想しない行動をとることがありますが、子供の「行動心理」を専門に研究している人の話によりますと、4歳から6歳頃の子供には、特徴的な行動があるということです。
その特徴的な行動とは、「気まぐれで、気分屋」的な行動だそうです。例えば、手から離れた風船を追いかけて突然道路に飛び出したり、何かうれしいことがあると飛び跳ねたり、はしゃいだりして道路に飛び出したりする行動がそれです。そのほか、この時期の子供さんには、「一つのものに注意が向くと、周りのものが目に入らなくなる」「大人のマネをしたり、依存しやすい」「抽象的な言葉だけでは、よく理解できない」等の特徴があるそうです。
また、この時期の子供は、「動態視力」がまだ未発達だということです。例えば子供が、道路の端に立ち止まって右、左の両方向を見回したので、車の運転者は「接近中の車を見たに違いない」と思っていたところ、子供は予期に反して急に道路に飛び出し、急ブレーキをかけたが間に合わず、事故になる場合があります。事故にあった子供に聞きますと、「見ました。だけど車は止まっていました」という答えが返ってくるそうです。このようにこの時期の子供は、一目で見て、ものの動きを把握できる能力「動態視力」が未発達だということなのです。
さらに、この時期の子供には、ものの動きを目の端で見つける機能「周辺視」が大人に比べ、2分の1程度の視界しかないそうです。従って、大人から見れば、小学校に入る前だから、相当しっかりしているはずだと思いがちですが、実際は、「脳は気を取られやすい状態」「目は片目を閉じて水中眼鏡をかけている状態」「片方の耳がふさがられている状態」だということです。大人だったらこのような状態で歩けといわれたら怖くてとても歩けそうにはありません。
このように親としては、子供はやはりまだまだ未発達な状態で、大人は思うほど、能力も大人並みには発達していないという「子供の行動心理」を十分理解することが、事故防止につながるようです.






