大相撲名古屋場所終了後に計画されていた東北巡業は、優勝した横綱朝青龍が、腰と肘の故障という診断書を協会に提出し、親方に無断でさっさと故郷のモンゴルに帰ってしまい、巡業予定先のファンをがっかりさせてしまいしたが、巡業が始まる直前、腰や肘が痛いはずの朝青龍が、モンゴルで元気にサッカーに遊び興じている姿がスクープされ、大相撲ファンのひんしゅくを買ってしまいました。この問題が連日のようにマスコミで話題になり、あわてた大相撲協会では、朝青龍を急遽日本に帰国させるとともに、臨時理事会を開いて朝青龍に対し、2場所の出場停止と謹慎処分を決定し、本人に通知しました。
ところが、処分を受けた朝青龍の精神状態が不安定になり、師匠の高砂親方が説得しても埒が明かず、数人の専門医が診察の結果、「解離性障害」と診断され、大相撲協会は再び臨時理事会を開催し、医師の意見を尊重するという形で、朝青龍を「治療」という名目で、モンゴルに帰してしまったのです。
今回の問題では、朝青龍に対する処分が決定してからモンゴルに帰国させることを承認するまでに約1ヶ月を要し、その間、協会はなんら対策を打たず、全て師匠の高砂親方任せという状態になってしまい、後味の悪い結果となってしました。私も子供の時から大相撲ファンでしたから、今回の騒動については、報道される内容に注目していましたが、最も腹立たしく思ったのは、朝青龍の我侭な振る舞いと師匠である高砂親方の朝青龍に対する「過保護」とも言える対応振りでした。朝青龍の人間性については、これまでも懸賞金を受け取る際、右手で手刀を切るのに左で切ったり、勝負が決定したのに、相手力士を土俵下に突き落としたり、また、出稽古に来た他の部屋の若手力士を土俵上にたたきつけて怪我をさせたりする等、横綱としての品格を疑われるような行動が数々あり、他の部屋の親方や朝青龍と対戦する力士からは、表立っては出ていませんが、かなりの不満があったようです。
さらに、協会から後始末を任された高砂親方の行動を見ていますと、大相撲の世界での親方と弟子の間柄ですから、当然、親方が問題を起こした朝青龍を自分の所に呼びつけるものと思っていたところ、驚いたことに、親方自ら朝青龍の所に出かけ、記者会見するよう説得したということです。いくら朝青龍が横綱とはいえ、高砂親方にとっては弟子ですから、このような行為をとった高砂親方の「過保護」振りには、全くあきれてしまいました。
相撲道には、「心、技、体」という言葉がありますが、かって横綱の貴乃花はよくこの言葉を口にし、横綱としての品格の保持に努めていましたが、それは実父で師匠の二子山親方が厳しく育てたからです。大相撲では新弟子時代、相撲研修所で約半年間、相撲の歴史やしきたり等を学ぶそうですが、後の教育はその部屋の親方に任せるといった状態になっているので、朝青龍のような「技」と「体」は備わっているものの、「心」の欠けた力士が誕生したわけです。
モンゴルに帰国した朝青龍が、はたして腰や肘のほか、「心の病」を完治させ、再び元の強い横綱としてカムバックするかどうかが、今後注目されるところですが、朝青龍のこれまでの我が侭振りや高砂親方の指導力からして、相撲界復帰はかなり難しいと思われます。親方の「過保護」とも思われる指導が、結果的には有能な力士の将来を潰す格好になったわけですから、相撲ファンである私にとっては、非常に残念です。






