広辞苑によれば、殆どないが、稀にあるさまのことを「万一(まんいち)または万が一(まんがいち)」というそうですが、先日、まさにその「万一」を体験し、冷や汗をかきました。
それは、先週の土曜日にゴルフをしていたときのことです。パー4のミドルコースで、同じ組の4人がそれぞれ第2打を打ったところ、二人のボールはグリーンにオンしましたが、私の打ったボールはグリーンをオーバーして奥のバンカーに、そしてTさんのボールはグリーン左手前のバンカーに入ったのです。私はバンカー用のサンドウェッジを握り、ボールがある奥のバンカーに近づき、グリーンの方を振り返ったところ、既にグリーンにオンした二人は、パターを持ち、私から見て左側のグリーン近くに立っており、Tさんは私の方から見て向かって右側のバンカーの中に入り、第3打を打つ準備をしているところでした。私はTさんが打った後に第3打を打つことにし、バンカー内に入り、Tさんのプレーを見ていたのです。
やがて、Tさんが第3打を打ち終え、レーキで砂をならす動作が見えましたので、私はボールを打つ準備に入ったのです。バンカーショットは、シャンクやホームランになったりし、思わぬ方向にボールが飛び危険ですから、このような場合、「打ちますよ。」とパートナーに声を掛け、その位置を確認してからバンカーショットを打つのがマナーとなっています。しかし、Tさんの位置は、私から見て右45度の場所で、しかも約30メートルも離れていましたし、さらに、これまで約20年のゴルフの経験がありますが、バンカー内のショットがホームランになったことはあるものの、シャンクしたことは一度もなかったので、Tさんにに声を掛けることもなく第3打を打ったのです。
ところが、サンドウェッジのフェースがバンカー内のボールに直接当たってしまい、そのためボールは、私の期待に反して右斜めの方向に飛び出して行ったのです。その瞬間、私は、「しまった。」と思い、顔を上げてボールの飛んで行った先を見たところ、なんとTさんがいるバンカーめがけて飛んでいたのです。シャンクしたボールはハーフライナーでしたから、私は思わず「ファー」という大きな声を出し、Tさんに知らせたのですが、間に合わず、ボールは、私の方に背を向け砂を直していたTさんの足元付近に落ちたように見えたのです。私は思わず「Tさんの頭に当たらず良かった。」とほっと胸をなでおろしたのですが、Tさんは崩れるようにバンカー内に倒れたのです。その様子から、ボールは私の見間違いで、てっきりTさんの頭に当たったものと思い、急いで倒れているTさんの所に走り寄ったところ、右足を手で抑え、砂の上に倒れているTさんの姿が目に入ったのです。そこで、「ごめん、ごめん。大丈夫?」と声を掛けたのですが、Tさんからは何の返事がありません。心配になってTさんの傍に近づき、もう一度「大丈夫?」と声をかけたところ、ようやく顔を上げ、苦しそうにして、「ボールが痛めていた右足のくるぶしに当たったらしい。」と返事をしたのです。すぐさまTさんの右足の靴下を下ろし、くるぶし付近を見たのですが、傷らしい所はなく、やがてTさんは立ち上がり、2,3回ひざの屈伸運動をしていましたが、痛さが取れたらしく、次のプレーに移ったのです。しかしながら、私の心中は穏やかというわけにはいかず、パターをしていても、バンカー内に倒れたTさんの姿が目に浮かぶ状態で、集中力に欠けてしまい、スリーパットをするなど、その後のプレーは散々な結果となってしまったのです。
今でもその時のプレーを思い出すと、もしボールがTさんの頭に当たっていたら大変なことになっていたはずだとゾッとすることがしばしばです。今回のことは、宝くじにも当たったことのない私でさえ、やはり「万一」ということはあり得るということを立証したものであり、猛省しているところです。






