落書き
世界遺産に登録され、観光地として有名なイタリア・フレンツエの大聖堂の壁や柱に、日本人が「落書き」した問題については、最初、岐阜女子短大生の件が報道され、それが謝罪会見で終わったと思ったら、次は京都産業大学生の件が発覚して停学処分に及び、さらに茨城県の私立高校の野球部監督解任まで飛び火して、今や格好のマスコミの話題となっているようです。
今回の「落書き」のことの起こりは、今年の3月、イタリア旅行をした日本人の観光客が、大聖堂の壁に「岐女短」と落書きされているのを見つけ、その写真を添付してメールで岐阜県立女子短大に送りつけたことから問題が発覚したものです。学校側が調査したところ、落書きした学生6人と引率した教員2人が判明しましたが、学校からの謝罪の電話に対し、大聖堂側の関係者が、処罰や賠償の意思がないことから、短大では、関係の学生と引率の教員を厳重注意しただけで、いわばお咎めなしにしたのです。
ところが、この「落書き」問題は、これで落着というわけにはいかず、観光客が自分のブログに大聖堂に「落書き」された写真を掲載したことから、「京都産業大学」と油性ペンで「落書き」していたことが明るみになり、京都産業大学で調査の結果、「落書き」した学生2人を14日間の停学処分にしたのです。さらに、この「落書き」問題は、同じネット上に、ハートマークに男女の名前が書かれた写真が掲載され、これを書いたのが茨城県の私立常盤大高校の野球部監督(30歳)であることがわかったというわけです。学校側が調査した結果、新婚旅行でイタリアの大聖堂を訪れた際、最上階展望台の柱に油性ペンで「落書き」したことを認めたので、即刻その監督を解任し、高野連に報告したということです。
このように、同じ大聖堂の壁や柱に「落書き」したのに、学校側の処分は、厳重注意、停学、監督解任という三者三様になりましたが、果たしてどの処分が最も妥当なのか、国民の間でもいろいろ意見が分かれています。例えば、最初の岐阜県立女子短大の「厳重注意」処分が出た際には、こぞってマスコミは「処分が甘すぎる」と論評しましたが、これが影響したのか、次の京都産業大学の際は、「停学」という処分になりました。この処分については、マスコミも処分結果を発表しただけでしたが、常盤大高校野球部監督の解任処分では、「確かに行為そのものは悪いが、解任処分はやり過ぎでは・・」という論評もあったようです。また、この処分に対するイタリアのメディアは「停学、監督解任はやり過ぎ、イタリアではありえない」と論じていますが、イタリアでは、「落書き」が日常茶飯事に行われており、取り締まりも甘いことから、このような論評になったもので、日本とはいささか「落書き」に対する考え方が違っているようです。この処分の中では、「監督解任」という厳しい処分が出ましたが、この裏にはどうやら甲子園出場問題があったようです。というのは、この常大盤高校は、2000年に新設された高校ですが、昨年の夏の大会では準優勝し、今年の夏の大会でもシードされており、甲子園初出場の期待がかかっている状態にあったそうです。したがって、高野連から「夏の大会予選出場停止」という厳しい処分が予想されたことから、先手を打ち、「監督解任」の発表になったようで、事実、高野連もこの私立校に対しては、出場停止の処分はしませんでした。
今回の「落書き」に対する処分については、軽重があるようですが、ここで私達がよく考えておかなければならないのは、 「落書き」という行為は、日本では刑法上「器物毀棄」という犯罪になるということです。従って、外国に旅行した際は、軽い気持ちで、ついということは絶対やめてもらいたいものです。それが日本人の常識というものではないでしょうか。






