化粧運転
先日の朝、新聞を見ていたところ、購読者が投書する窓欄に「運転しながら化粧をしないで!」というタイトルが目に飛び込んできました。何事かなと思いながら読んでみますと、その内容は次のようなものでした。
投書者は50年配の女性でしたが、朝の出勤中、渋滞に巻き込まれイライラしながら運転していると、すぐ前を走る車がゆっくり動き出した途端、急ブレーキをかけたり、蛇行したりするので、最初はてっきり、運転者が携帯電話をかけながら運転しているものと思っていたそうです。前の車が何回かそのような動きをするので、投書者は気になって前の車のバックミラーを見たところ、そこには若い女性の顔が映し出されていましたが、驚いたことには、その女性は運転しながら化粧をしていたのです。最初はファンデーション、次はパフで顔をたたき始めましたが、どうやらハンドルから手を離し、足の操作だけで運転をしているようで、そのため、急ブレーキをかけたり、車が蛇行していたというわけです。投書者は運転中に化粧するなんて同じ女性として恥ずかしいし、交通事故につながる危険な行為なので、是非やめて欲しいと結んでいました。
その投書を見ながら、私はふとバスや電車の中で化粧する若い女性の姿を思い浮かべました。雨の日バスに乗ると、必ず車中で鏡を出して化粧する若い女性の姿を見かけますが、その集中力にはいつもびっくりさせられます。それは、鏡に写る自分の顔をじっと見つめ、ひたすら化粧に専念しているからです。おそらく、化粧している本人には、ひょっとしたら誰かが見ているかも知れないとか恥ずかしいという気持ちはさらさらないようで、実に堂々としています。そのような集中した化粧する姿を見ていますから、この投書を見ても、化粧しながら運転することは神業に近い行為ですから、例外中の例外だろうと思っていたのです。
ところが、それから数日して、朝の出勤中、まさに「化粧しながらの運転」を目撃したのです。それは、自宅近くにある県道の自転車道を通行していた時のことです。朝の通勤時間帯とあって、道路は渋滞状態となっており、車はノロノロ運転をしていましたので、その車の運転者の姿などを眺めながら、自転車のペタルを踏んで南進していたところ、私と反対方向の道路を北進してくる軽自動車の様子が一寸おかしいのに気づきました。それは、車が中央線を越えようとしたり、さらには私が進行している自転車道のガードレールの方向に進行するなど、フラフラした運転振りだったからです。私はてっきり運転者が携帯電話をかけながら運転しているのだろうと思い、運転席を見たところ、そこには若い女性に姿がありましたが、運転者は運転席から少し伸び上がった形で、バックミラーを凝視しているのです。目を思い切り開き、マツゲの手入れをしていましたから、おそらくマスカラをしていたものと思います。車が停止中ならいざ知らず、渋滞でノロノロ状態であるとはいえ車は動いているわけですから、ハンドルから両手を離し、化粧している姿にはびっくりというか、唖然としたのです。女性が化粧しているときの集中力については、バスや電車の中で体験していますから、このとき見た軽自動車の運転者も、おそらくバックミラーに写る自分の顔に、全神経が集中していたものと思われます。もし、前車が急停車したり、あるいは横合いから急な飛び出しが合ったりしたら、どうするのでしょうか。ハンドルを放していますから、おそらく、咄嗟に急ブレーキをかけたりすることは出来ないものと思われます。
女性にとって、朝の化粧は必要不可欠なものですが、くれぐれも車をメイクルームにせず、早起きしてから自宅で化粧するなどの配慮をして欲しいものです。






