MDSの職員室にいると、部外の人から数多くの電話がかかってきます。卒業生からの「本免の学科試験に合格し、無事運転免許が取れました。」という嬉しい知らせのほか、入校の問い合わせ、そして中には苦情もあります。そのつど、在席している副管理者や場合によっては私もその対応をすることがあります。先日隣りの席に座っている幾田副校長が対応していた電話は、これまでとは少し違ったものでした。それは、隣りで電話の内容を聞いていると、「はい」とか「そうですか」という内容が多く、私はてっきり苦情の電話だろうと思っていたのです。
ところが、電話が終わったので聞いてみると、苦情ではなかったのです。電話の相手は都城市内に住む母親からで、その内容は、「上の子(姉)はMDSで免許を取ったが、3ヵ月後には交通事故を起こしてしまい、大怪我をした。今回、高校3年生になる下の子(妹)を近くMDSに入校させることにしたが、姉と同じように交通事故を起こしてもらったら困るので、厳しく指導してください。くれぐれもよろしくお願いします。」というものだったそうです。
それを聞いて、どの親も子供が免許を取るからには、安全なドライバーに育てて欲しいと願っているのだなということがわかりましたが、ふと、私が作っている新聞のスクラップブックの中に、同じような記事があったことを思い出し、探してみたところ、見つかりました。その記事は、今年の春ごろ、新聞の「声」欄に掲載されたものですが、タイトルは「運転の極意は上手より安全」というもので、投書の方は49歳の女性です。その内容は「この春高校を卒業した息子が、自動車教習所に通い始めた。なかなか上達しないと毎日しょげて帰ってくる。何とか自信をつけてもらいたいと、隣町の空き地で練習することにした。海の見える高台で、私がコースを描き、夫が助手席で特訓する。ハンドルを握る息子に、『まだハンドルを切るのが早い』『ゆっくりゆっくり』と夫、どっちも真剣だ。その二人の姿に、30年前を思い出した。30年前、私が教習所に通った時、父も同じように特訓してくれた。仕事に出かける前の1時間、毎朝毎朝、日頃無口で殆ど口を利くことがなかった父と、この特訓中に少しずつ距離が縮まったような気がする。何を話したのか殆ど覚えていないが、今でも心に留めている言葉は『上手に運転せんでもええ、安全な運転をすることが大事だ』。30年間無事故でいられたのも、この教えのおかげと感謝している。やがて息子も運転免許を取るだろう。そのとき、息子に父の言葉をそのまま贈りたい。そして、『免許を取ったら、一番先にお母さんをドライブに連れて行ってね。』と心ひそかに願うのである。」というものでした。
実は、私もこの投書にあるように、次男が運転免許を取るとき、「クラッチの操作がうまくいかない」と嘆いていましたので、河川敷に連れて行き、クラッチの操作やハンドル捌きなどを指導したことが何回かありましたので、この投書の内容に同感し、すぐスクラップしておいたのです。ただ、私の場合、息子に対しては、投書者のお父さんのように印象に残る激励の言葉をかけませんでしたから、この点が足りませんでしたが、親の気持ちとしては、「運転の極意」は、やはり、「上手より安全」ということに今でも変わりはありません。
校長のひとり言ブログ
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