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校長のひとり言ブログ

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モクセイ(木犀)

 私は年間を通じ、毎朝5時半頃から散歩に出かけていますが、先日の朝、コースとなっている私が住む団地の外周道路を散歩していると、まだ暗い中、どこからか甘酸っぱい匂いが漂ってきました。その匂いをかいだ途端、「あ、モクセイの匂いだ」と直ぐわかりましたので、匂いをたどっていくと、それは団地内の公園に植えてある黄金色の花をつけた「キンモクセイ」からでした。早速、花に私の鼻を近づけ、匂いをかいで見ると、なんともいえない甘酸っぱい匂いでした。さらに、散歩を続けていくと、あちこちから「モクセイ」の匂いが漂ってきました。段々、東の空が明るくなり、物が見えるるようになったので、各家の庭を覗いて見ますと、「モクセイ」が植えてある所が意外と多く、そのほとんどは「キンモクセイ」で、白い花びらの「ギンモクセイ」が植えてある所は、わずかしかありませんでした。
 さて、秋の訪れを教えてくれる「モクセイ」の原産地は中国ですが、中国名では「桂花」と呼ばれています。これは「モクセイ」が、中国広西のチワン族が住む桂林市に多いことからこの名前が付いたもので、和名の「モクセイ」は漢字の「木犀」を音読みしたものだということです。それでは、なぜ、「モクセイ」になったかということですが、それは、この木の幹肌が、皮膚の硬い動物の「犀」に似ていることから、この名前が付けられたということです。実際、この木は堅く、そろばんの珠や印鑑の材、家具などに用いられています。この樹木は、実は白い花が咲く「ギンモクセイ」が原種で、文献によると、唐の時代には、すでに「ギンモクセイ」のことが書かれており、日本には万葉の時代から平安にかけ、伝わったものとされています。また、「モクセイ」といえば、誰しも黄金色の花が咲く「キンモクセイ」を思い浮かべますが、文献によると、「キンモクセイ」は変種で、江戸時代に伝わったものだということです。
 この「モクセイ」は、雌株は結実しますが、雄株には実がならず、日本に伝わったものは雄株だけだそうです。それでは、どうしてこの木を増殖したかということですが、それは日本人には「挿し木」という技術があり、これによって、現在のように、我が国全土に「モクセイ」が広がったそうで、今更ながら、古の人達の技術力には感心させられます。また、「ギンモクセイ」の匂いはそれほど強く感じませんが、「キンモクセイ」はとても強い匂いがし、遠くまでその香りが届くので、別名「七里香」と言われています。その芳香性を活用して、一時期、「キンモクセイ」をトイレの脇に植える家が多かったそうです。それは、昔のトイレは汲み取り式でしたから、その臭い消しのために植えられたものですが、そのためか、お年寄りの人の中には、「キンモクセイ」の匂いがすると、トイレを連想し、この樹木を嫌がる人もいるということですから、世の中も様々なようです。
 「モクセイ」といえば、私の実家にも、かって「モクセイ」の木がありました。実家の南側の庭には「キンモクセイ」と「ギンモクセイ」の二本が植えられ、高さが4メートル位の大きな樹木でしたから、毎年秋になると、黄金色と白色の花が咲き、甘酸っぱい匂いがし、秋の訪れを感じたものです。その二本の木も切り取られ、その面影は写真でしか見ることが出来ませんが、今でも瞼を閉じれば、子供のとき見た「キンモクセイ」と「ギンモクセイ」の色を思い浮かべることが出来ますから、人間の記憶とは不思議なものです。