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校長のひとり言ブログ

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直葬

 先日、俳優の森繁久彌さんが、老衰のため96歳という生涯を閉じました。森繁さんといえば、私達が若いころ観た映画にはよく出演されていましたし、知床旅情の作詞作曲をしたり、自ら歌う等の幅広い活動が認められ、伝統芸能以外の俳優では、初の文化勲章を授与された人です。その森繁さんの葬儀については、次男の方がテレビ出演され、「本人の強い意向で、家族だけの密葬にすることにしました。皆様方のご了解をお願いします。」という会見が行われましたが、最近の葬儀の傾向を見ると、このような家族葬や密葬が多くなったような気がします。
 その葬儀については、葬儀社で行う葬儀が一般的ですが、最近は、森繁さんの場合のような故人との別れを重視した「家族葬・密葬」、個人の好きだった音楽で送る「音楽葬」、元プロ野球の選手等故人の個性を表現した「葬儀」、故人の好きだった花で送る「花祭壇の葬儀」のほか、無宗教の「お別れ会」等実に様々の方法による葬儀が行われているようです。そのような中で、葬式を行わず火葬のみを行う「直葬」という形式の葬儀があることをつい最近知りました。
 それは、先日の朝、散歩をしながらラジオを聞いていたところ、出演していた長野県の住職さんから「最近、葬儀形式が変わって『チョクソウ』が多くなり、そのため、私達はその対策に苦慮しています。」との発言がありました。私は始めて、「チョクソウ」という耳慣れない言葉を聴き、どのような字を書くのか、一瞬戸惑ったのです。すると、アナウンサーも私と同じ疑問を持ったのか、「『チョクソウ』とはどのような字を書くのですか」と質問したのです。住職さんの説明によると、「チョクソウ」は、直接の「直」と、葬儀の「葬」をくっつけたもので、その意味は、葬式をせず、火葬だけにする葬儀の法式だということでした。
 これまで我が国では、人が亡くなってからは、死亡→葬儀・告別式→火葬というステップを経るのが通常でしたが、これに対し、死亡→火葬と、途中の儀礼・イベントを取り払ったのが「直葬」だそうです。葬儀関係者の調査によると、昨年の全国の葬儀のうち、東京都下では約20~30%、地方では約5%~10%が「直葬」となっているそうです。「直葬」そのものは、生活困窮者や天涯孤独者については昔から行われていたそうですが、それが一般に広がり始めているということです。それでは、なぜ「直葬」が増えてきたかということですが、それにはいろいろ要因があるようです。その一つとしては、宗教、とりわけ仏教離れだそうです。また、格差社会の進展で、生活困窮者そのものが増加していることや葬式を金銭や時間、手間の点で「ムダ」と考えている人が増えていることも要因だということです。
 この「直葬」について、お寺、教会等の宗教関係者からは「葬儀は故人とかかりあいのある人が心の整理をつける儀式であり、それを省くのは残された人のグリーフケア(悲しみを癒す)のプロセスがなくなることにもなりかねない」等の批判的な意見があります。お葬式消費者相談によると、先祖代々のお墓を持っている人がお寺に相談しないで「直葬」すると、トラブルになるケースが多いということですから、葬儀形式をどれにするかは、専門家である葬儀社に相談したほうがよいとアドバイスをしているようです。