最近、政治家の「失言」は度々ありますので、例えテレビや新聞で報道されたとしても、「またか」という気持ちで軽く受け流していましたが、今回、選抜高校野球で敗戦した島根県開星高校監督の「もう野球を辞めたい。死にたい。腹切りたい。21世紀枠のチームに負けたことは、末代までの恥です」の発言は、「失言」というより、むしろ「暴言」に近いものであり、この発言を聞いた私も、唖然とするとともに、許すことが出来ない「失言」だと受け取りました。
この「失言」をしたのは、春の選抜高校野球大会2日目の第1試合に出場した島根県開星高校野球部の野々村直通監督(54歳)ですが、テレビや新聞報道によると、次のような模様だったようです。開星高校は、昨年秋に行われた秋季中国地区大会で見事優勝し、昨年に続き連続出場した高校で、今年は優勝がささやかれていた程の強豪チームだそうです。そして、初戦の相手は、各地区の予選を勝ち抜いてきたチームではなく、21世紀枠で選ばれた和歌山県の向陽高校でしたので、当然試合前の予想も「開星高校楽勝」だったということです。
ところが、いざ試合が始まってみると、向陽高校の選手が伸び伸びとプレーし、試合結果は2対1で向陽高校が勝ってしまったのです。試合後、勝ったチームだけでなく、負けたチームに対しても記者会見が行われますが、多くの記者団の囲まれた負けチームの野々村監督は、記者団の質問に対し、何度も首をひねり、天井を見つめた後、つぶやくように「21世紀枠に負けたことは、末代までの恥です。もう野球をやめたいし、死にたい。腹を切りたい」と発言したということです。目に涙を浮かべ、鼻水もふかずにこの「失言」が続いたそうですが、おそらく、野々村監督としては、中国大会のチャンピオンチームであり、しかも優勝まで狙って今回の選抜大会に出場したわけですから、初戦敗戦があまりにも大きなショックだったようです。普通、負けたチームのどの監督さんも心の中では負けたことが悔しいものの、決してその気持ちは言葉には出さず、相手のチームの良いところを褒めあげるものですが、この野々村監督は、悔しい気持ちをそのまま、うっかり口に出してしまったわけです。おそらく、この「失言」は、監督の本音だったものと思われます。
この野々村監督の「失言」は、たちまち電波に乗ってその日のうちに全国に広がり、高校野球連盟も即座に調査に乗り出しましたが、あわてた開星高校側も、翌日校長など関係者が相手チームの向陽高校に出向いて謝罪したり、野々村監督の謝罪会見も行われたのです。その様子はテレビで見ましたが、野々村監督の服装を見て、「これでは謝罪にならない」と感じたのです。それは、監督の服装が、黒シャツに、ド派手なネクタイ、銀色のスーツ、そして先のとがった白い靴で、おまけにサングラスという姿だったのです。監督は、言葉では「21世紀枠で出て、あれだけの試合をしたことに腹の底から敬意を表します。」と、人目をはばからず、号泣しての謝罪会見でしたが、テレビの画面を見ていた私には、全く誠意が伝わってきませんでした。
自身のふがいなさを責める思いから生じた言葉でしたが、21世紀枠という選抜高校独特の諏旨に批判的とも思われる発言と記者会見という公の場での発言ということは、明らかに高校野球の指導者としては失格です。今回は自らの監督辞任という形で一段落しましたが、伝統ある高校野球に大きな汚点を残すことになったことは、大変残念なことです。



