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校長のひとり言ブログ

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愛他行動

 テレビや新聞で最近のニュースを見ると、自分の生命の危険を顧みず、他人を助けようとして行動に移し、そのため命を落としたり、あるいは危険にさらされる事案が相次いで発生しました。
 その一つは、本年2月15日の夜、東京のJR高円寺駅のホームから、酒に酔った若い女性が誤って線路に転落した事案です。このときは、電車が入ってくる直前に、近くにいた若い男性が線路に飛び降り、女性をレールとレールの間に運び、間一髪で救助することが出来ました。このニュースをテレビで見たとき、約10年位前、東京の大久保駅だったと記憶していますが、韓国の留学生が線路に落ちた人を助けようとして線路に飛び降り、電車に轢かれて命を落とす事故を思い出しました。幸い、今回の場合、転落した人も救助のため線路に飛び降りた人も怪我ひとつしませんでしたが、自分の生命の危険を顧みず、よく咄嗟にこのような行動が取れたものと感心したところです。
 その二つは、3学期が始まる前日の4月6日の夕方、佐賀県唐津市内のフェリー発着場付近の岸壁で発生した子供の転落事案です。岸壁で釣りごっこの遊びをしていた5人の子供のうち、4歳になる保育園児(男)が誤って2メートル下の海中に転落し、これを助けようとして小学校5年生の兄(10歳)と一緒に遊んでいた友達が飛び込み、兄が溺れました。幸い、友達は岸壁にたどりつき、また、弟は救出され、病院に搬送途中に意識が戻って一命を取り留めましたが、兄は懸命の人工呼吸もむなしく死亡するという、誠に痛ましい事故となりました。この岸壁では、昨年、酔っぱらいによる転落事故が発生し、その対策として浮き輪が3か所設置され、さらに、海中に降りるタラップも設置されていたのに、これが全く利用されず、またもや転落事故が発生したというわけです。第三者からみれば、何も見境なく海に飛び込まなくても、他の方法、例えば、近くにいた人に助けを求めるとか、岸壁にある浮き輪を投げ込む等の手段がとれなかったかと考えられますが、10歳になる兄にはそのような考えは咄嗟に浮かばず、弟を助けたい一心で、後先のことは全く考えずに、飛び込んだものと推察されます。
 この二つの事例にみられるように、窮地に陥っている人を助ける行動のことを「愛他行動」といいますが、この本能は人間だけが持っているものだそうです。昔は隣の人が困っていれば手をかしたり、地域のみんなで助けたり、そういうことがごく自然に行われていましたが、最近、この「愛他行動」が減少しています。その要因は、集団が大きくなったことで、特に都会生活においては「他人のことに関わらない」というルールが出来、それを身につけてしまったために、「愛他行動」が出にくい状況になっているということです。
 困った人がいても、傍観する人が多くなっているということについて、こんな調査結果が出ています。それは集団が2人で、1対1の場面で相手が困っている場合は、100%手を差し伸べますが、これが3人になると85%、6人になると65パーセント減少し、さらに多くなると%は下がり、傍観者が多くなってくるということです。
 この「愛他心」に基づく「愛他行動」は、私達が研修で学んだ「利他性」と相通ずるものがあり、素晴らしいものですが、後先を考えずに行動すると、自分の命を失うことになります。そこで、重い荷物を持っている人を見かけた場合、その荷物を持ってやる等ということは出来るはずですから、周りにたくさんの人がいても恥ずかしがらずに、皆さんが持っている「愛他行動」をフルに発揮しましょう。