かって50年位前、宮崎交通のバスに乗ると、運転席のすぐ横には「先ずにっこり」という張り紙があり、当時、乗降車口はバスの前部1か所だけでしたから、どの運転手さんも車掌さんも先ずにっこりと「笑顔」でほほ笑んでくれていましたが、その「笑顔」を見るたび、「このバスに乗れば安心」という感じを受けたものです。この「先ずにっこり」という標語のいきさつについては、宮崎交通バスの創始者である岩切章太郎氏が、著書「無尽灯」で次のように書いています。それによると、「机に向かって先ずにっこり、それから仕事を始めなさい。運転台に腰掛けて先ずにっこり、それからハンドルをとりなさい。修理をするにも、掃除をするにも、電話をかけるにも、何をするにも先ずにっこり。私どもの大事な合言葉である。」となっています。この「無尽灯」は、社員教育の一環として作成したものですが、同氏は社員の誰もが読めるようにと、当時尋常小学校を卒業したばかりのお手伝いさんに読んで聞かせ、理解できない時は、再度文を作り直したということです。こうして出来上がった「無尽灯」は、その後の宮崎交通の社員教育に大きく貢献し、やがて宮崎交通バスの応対の良さが国内の人に認められ、昭和30年代から40年代にかけての新婚ブームに火を点けたといわれています。
「笑顔」といえば、先日見たテレビでは、日本人は果たして一日の内、何時間位「笑顔」の時間帯があるかということを放映していました。それによると、意外と私達は「笑顔」の時間が数時間と少なく、また、男性は女性の半分しか「笑顔」の時間帯がないという結果が出ていました。その放送の中で、ある40代の女性のことが紹介されていましたが、その女性は20代の頃、何があっても笑い転げるほど、一日中「笑顔」が絶えなかったそうです。それが結婚して子供が生まれると育児に追われ、そしてやがて子育てが終わったと思ったら、既に40代となり、気が付いてみたら、ご主人や子供との会話も少なくなり、「笑顔」のない、そして楽しみのない生活になっていたということです。そこで、その女性は、友達に誘われて「笑顔作り講座」に参加したところ、講師から「笑顔」の大切さを教えられたそうです。早速我が家に帰り、家族に接するときは、常に「笑顔」でほほ笑むことを実践したところ、あれほど無口で反抗的だった子供が素直に母親と口を聞くようになり、さらに、ご主人との会話も増えたということです。
さて、「笑顔」ですが、どの会社においても、新人が入社した時は、社員教育として、挨拶の仕方、声の出し方等の研修を行っていますが、専門家の話によると、これには理由があるのだそうです。それは、受付の女性事務員が常に「笑顔」を絶やさずお客と接している会社ほど、お客さんからは「この会社は社員教育が行き届いている。これなら安心して取引できる」という第一印象を受け、会社全体の業績が上がっているのだそうです。そういえば、県内でも一流といわれる銀行の窓口に行った時、女性行員から「笑顔」で挨拶を受け、好印象を受けたことがありますが、まさにその通りのようです。
このように「笑顔」は、お客様に好印象を与える強力な武器ですから、私達の職場においても、指導員、事務員を問わず、常に「笑顔」で、生徒さんや学校を訪れる高齢者講習受講者に接することを心がけましょう。



