早合点
6月19日の日曜日は父の日でしたが、その日の夕方、東京に住んでいる長男夫婦から、今年も「父の日プレゼント」が届きました。宅急便で届けられた小包を見た瞬間、中身はスポーツシャツだなと感じました。それは私の趣味がゴルフですから、長男はそのことを知っていて、毎年、父の日にはプレゼントとしてスポーツシャツを送ってくれるからです。
早速、包装紙をほどいてみると、やはり中身は私が予想した通り、スポーツシャツでした。今年のスポーツシャツは黒色の半袖ポロシャツで、見た感じではなかなかおしゃれなものに感じました。どこの製品かなと思い、ポロシャツの襟を見たところ、私の目に飛び込んできたのは、「TAKEO」という文字でした。何と私と同じ名前ではありませんか。その瞬間、私の脳裏には「長男がわざわざ私の名前を刺しゅうしてくれた」という考えが浮かんできたのです。そこで、すっかり嬉しくなって「わざわざ俺の名前を刺しゅうしてくれたのか。」と独り言をつぶやいたのです。その私の言葉を炊事場で聞いていた妻が、「まさか。その名前はどこについているの?」と聞くので、シャツの襟についていると返事したのです。すると、妻が「それはもしかしたら、デザイナーの名前かも知れないよ」と答えたのです。それを聞いた途端、「あっ、そうか」と考え、即座に襟を見たところ、何とそこには、「KIKUCHI」というローマ字が小さく刺しゅうされているではありませんか。妻が言うとおり、「TAKEO KIKUCHI」はデザイナーの名前で、私の「早合点」だったのです。穴があったら入りたい心境でしたが、そこは一家の大黒柱ですから、ぐっと我慢して「どんなデザイナーかな。インターネットで調べてみよう」と話題を変え、2階の自室に上がったのです。調べたところ、「TAKEO KIKUCHI」というのは、私の知っている戦時中、天皇機関説を唱えた菊池武夫男爵と同じ名前の有名なファッションデザイナーでした。
こうした「早合点」は、私が持って生まれた性格のようで、これまでの人生でも数々ありました。その中でも今でもはっきり覚えているのは、小学5年生の時の大失敗です。算数のテストがあり、その問題を見た瞬間、てっきり「足し算」の問題だと「早合点」したのです。私はどちらかといえば、国語や社会という科目が得意な方ですが、算数や理科という科目は不得手なのです。それでも算数では、「足し算」だけは得意だったので、問題を見た瞬間、「しめた」と小躍りしたのです。問題を最後まで見れば、「足し算」か「引き算」かの区別はわかるはずですが、その時は全く「引き算」だと思わず、「足し算」とばかり思ったわけです。問題を解き終わったら読み直すこともなく、そのまま答案を出したところ、友達から「問題は引き算だった」ということを聞き、「しまった」と思いましたが、もう後の祭りです。結果は0点でした。その時の通信簿には「なんでも『早合点』する性格のようです」という先生のコメントが載っていたことを記憶しています。
そのほか、ゴルフの時、番手の違うクラブを間違って握り、そのためボールが飛び過ぎてOBになったりしたことは度々あります。いまさら、私の短所である「早合点」を完全に治すことは無理なようですから、たとえ失敗しても、小さな失敗で済むよう心掛けるつもりです。



